重症熱性血小板減少症候群の発症と症状
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を発症するのは、比較的高齢の方である場合が多いようです。死亡率に関しては、中国で疾患が確認された当初の2009年には約3割とされていましたが、その後の調査により、現在では約10%であると推定されています。
重症熱性血小板減少症候群の症状の特徴は、発熱と消化器症状で、具体的には次のような症状が挙げられます。
(マダニに咬まれてからこれらの症状が現れるまでの潜伏期間は、6日から2週間程度とされています。人から人へと感染することはありません。)
- 発熱 (原因不明の38度以上の発熱)
- 食欲低下
- 嘔吐
- 尿の異常(尿検査で、タンパク尿や血尿などの異常を確認)
- 下痢
- 皮下出血(皮下出血、紫斑の発現)
意識障害(神経系のダメージにより、痙攣や昏睡などの意識障害が発生) - 白血球や血小板の減少
- 頭痛
- 筋肉痛
- 意識障害
- 失語
- リンパ腺の腫れ
- 下血
また、死に至るような重症例では、以下の症状が現れます。
- 発熱、嘔吐、多量の黒色便、四肢脱力、肉眼的血尿、血小板数の著しい減少
この他、重症熱性血小板減少症候群患者の血液所見では、血小板の減少、白血球の減少、血清控訴(AST、ALT、LDH)の上昇などが認められます。
SFTSの診断
SFTSの病原を診断するためには、次のようなステップをたどる必要があります。- 血液のサンプルからのウイルスの分離、同定
- 遺伝子検出
- 急性期および回復期におけるウイルスに対する血清中IgG抗体価・中和抗体価の有意な上昇確認、またはIgM抗体の検出
(現時点での重症熱性血小板減少症候群の検査は、国立感染症研究所ウイルス第1部でのみ実施可能です。)