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重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の治療法|治療薬やワクチンは?

マダニに咬まれた時

マダニは、吸血の際に皮膚にしっかりと口器を突き刺し、数時間から数日という長い時間をかけて吸血するという特徴をもっています。

従って、マダニに咬まれても痛みを感じたりかゆくなったりすることはないので、咬まれたことに気づかないケースがほとんどです。

マダニは人間に接触してもすぐに咬みつかず、皮膚を徘徊しながら柔らかい場所を探してゆっくりと咬むため、皮膚をマダニが歩いていないか常に注意し、早めにはたきお落とす必要があります。

吸血中のマダニに気が付いた場合は、無理に引き抜いたりつぶしたりしようとせず、速やかにに皮膚科を受診して、マダニの除去や洗浄などの処置を行ってもらいます。

また、マダニに咬まれた後の数週間は、体調の変化に注意しましょう。
もし発熱や消化器官の以上などの症状がみられた場合は、医療機関を受診することをお勧めします。

ちなみに、重症熱性血小板減少症候群は、四類感染症に指定されており、「感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律」の届出の対象となっています。

重症熱性血小板減少症候群の治療や予防

重症熱性血小板減少症候群には、治療薬やワクチンなどはなく、症状に応じて対症療法を行うことになります。

原因となるウイルスは、コンゴ出血熱のCCHFVやハンタウイルスと同じブニヤウイルス科のウイルスであるため、中国ではコンゴ出血熱の治療薬として使われているリバビリンが治療薬として使われていますが、効果はまだ確認されていません。
(※日本では、リバビリンはC型肝炎などの抗ウイルス薬として使われています。)

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の具体的な症状

重症熱性血小板減少症候群の発症と症状

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を発症するのは、比較的高齢の方である場合が多いようです。

死亡率に関しては、中国で疾患が確認された当初の2009年には約3割とされていましたが、その後の調査により、現在では約10%であると推定されています。

重症熱性血小板減少症候群の症状の特徴は、発熱と消化器症状で、具体的には次のような症状が挙げられます。
(マダニに咬まれてからこれらの症状が現れるまでの潜伏期間は、6日から2週間程度とされています。人から人へと感染することはありません。)

  • 発熱  (原因不明の38度以上の発熱)
  • 食欲低下
  • 嘔吐
  • 尿の異常(尿検査で、タンパク尿や血尿などの異常を確認)
  • 下痢
  • 皮下出血(皮下出血、紫斑の発現)
    意識障害(神経系のダメージにより、痙攣や昏睡などの意識障害が発生)
  • 白血球や血小板の減少
  • 頭痛
  • 筋肉痛
  • 意識障害
  • 失語
  • リンパ腺の腫れ
  • 下血


また、死に至るような重症例では、以下の症状が現れます。

  • 発熱、嘔吐、多量の黒色便、四肢脱力、肉眼的血尿、血小板数の著しい減少

この他、重症熱性血小板減少症候群患者の血液所見では、血小板の減少、白血球の減少、血清控訴(AST、ALT、LDH)の上昇などが認められます。

SFTSの診断

SFTSの病原を診断するためには、次のようなステップをたどる必要があります。

  • 血液のサンプルからのウイルスの分離、同定
  • 遺伝子検出
  • 急性期および回復期におけるウイルスに対する血清中IgG抗体価・中和抗体価の有意な上昇確認、またはIgM抗体の検出

(現時点での重症熱性血小板減少症候群の検査は、国立感染症研究所ウイルス第1部でのみ実施可能です。)

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の感染経路と予防法を知る

重症熱性血小板減少症候群の感染経路

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、ウイルスを保有したマダニに血を吸われ、傷口からウイルスが侵入することで発症します。
この他、感染者の血液や体液から感染するケースも報告されています。

SFTSウイルスを保有しているマダニは、森林や草地、住宅地周辺の空き地などに生息し、春から秋にかけて活動します。
これらのマダニが寄生した渡り鳥がマダニの生息域を広げることも指摘されており、ウイルスを持ったマダニと接触する機会はどんどん増えています。

SFTSに感染しないために

秋は、ハイキング・ピクニック・遠足・山菜採り・きのこ狩りなど野山にでかけることの多いシーズンですが、マダニが生息しそうな場所に出かける際には、長袖・長ズボンを着用し、靴下を履いて足を完全に覆うデザインの靴を履くなど、できるだけ肌を露出しない服装を心がけることが大切です。

手袋や登山用スパッツなども着用すると安心でしょう。暗い色の服を着ているとマダニが服の上を這っていても見つけにくいので、明るく薄い服を着てマダニが付いていないか常に確認するよう心がけることも大切です。
布や毛糸製のものより、化学繊維素材の服のほうがマダニが付きにくいという点も知っておくと良いでしょう。

ちなみに、身体の中で特にマダニが付きやすい場所は、足の付け根、手首、ひざ裏、わきの下、髪の毛の中などです。

野山では、草地に寝転がったり直接座ったりせず、帰ったあとは入浴し、必ず服を着替えるようにしてください。

マダニに刺されたら

万が一マダニに咬まれた場合は、自分で引き抜こうとするとウイルスが体内に侵入する原因となるため、そのまま速やかに皮膚科を受診することをお勧めいたします。

重症熱性血小板減少症候群の流行の現状(患者数・死亡者数・死亡率)

重症熱性血小板減少症候群とは

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、マダニが介するウイルスを原因として発症する疾患です。

2009年、中国で重症熱性血小板減少症候群の症例が確認されたことをきっかけにして、日本でも2005年より発生していることがわかり、現在西日本を中心に感染が広がりつつあります。
 
SFTSウイルスを保有するマダニは、家庭内の衣類や寝具内に生息しているダニとは種類が異なり、森林や草地に生息します。

日本国内には47種類のマダニが生息していますが、そのうち11種類を採取し、検査を行ったところ、フタトゲチマダニ、ヒゲナガチマダニ、オオトゲチマダニ、キチマダニ、タカサゴキララマダニの5種類から、SFTSウイルス遺伝子が検出されました。

これらのマダニの活動時期は春から秋にかけてで、体長は通常は3〜8ミリですが、人や動物の血を吸った後は10〜20ミリ程度になります。シカ・イノシシ・猟犬などの動物に感染しても症状が現れることはなく、動物から人間に感染することもありません。

重症熱性血小板減少症候群の潜伏期間と症状

SFTSの潜伏期間は6〜14日程度で、その後38度以上の発熱や嘔吐・下痢などの症状があらわれます。重症化すると、意識障害や皮下出血などが起こり、死亡するケースもあります。
 
日本では2005年以降、西日本の13県(兵庫・岡山・広島・島根・山口・徳島・愛媛・高知・佐賀・熊本・宮崎・長崎・鹿児島)で43件感染が報告されており、そのうち死者が出たケースは18件となっています。

国立感染症研究所の調査によれば、今まで患者の発生報告がなかった中部地方や近畿地方でも、SFTSウイルスを保有しているマダニが生息していることがわかっています。
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